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動物福祉トピックス

アニマルウエルフェア(動物福祉)って何だろう?

アニマルウエルフェア:『動物が肉体的精神的に十分健康で、幸福であり環境とも調和している事(Jaws)』『動物の理学的及び心理的幸福(C.J.Hewson。2003)』
アニマルウエルフェアの概念を理解するにあたり重要なのは、人が扱う動物の本性(能力・身体機能の発揮など)を客観的に理解・判定し、それに基づく扱い(食事・環境・運動など)をすること。決して擬人化した幸福を与えることではありません。またこの概念は先進諸国では常識とされており、その国の文化水準を図る尺度としても認識されています。

人は富や利便性を求めすぎるあまり、しばしば共生している他の命をないがしろにしがちです。アニマルウエルフェアは、人間はほかの『感情や感覚を持った動物』の命を利用して、自らの命を繋いでいるということを前提とし、その利用する動物たちの苦痛や苦しみを最小限にするべきであるという考え方です。
もともと畜産動物に対する扱いや、馬車馬などの使役動物に対する扱いを正すことで、その生産性や労働力を維持することが目的でした。時代を経て、命の尊厳や生きる意味など哲学的な要因と、動物が感情や痛みを持つ生き物であるという科学的要因が融合し、今のような意味付けがなされることとなりました。

対する考え方として、アニマルライツ(動物の権利)という考え方があります。
これは、『全ての動物には本性に従って生きる権利があるため、人はその命を搾取したり残虐に扱うべきではない。』という考え方です。人間は『感情や感覚を持った動物』を一切利用すべきではないということです。

命に対する考え方は、死生観と共にまちまちですので、多分どちらも正解なのだろうと思います。

さて我々日本で生まれ育った人間には少し違和感を感じるのが、この『感情や感覚を持った動物』だけが対象となっている部分です。八百万の神様と仏様たちに囲まれて暮らしていると、食事の前には『(命を)いただきます』、食べ物(命)を粗末にすると『ばち(祟り)があたる』、など普通の生活の中に『利用する命』に対する感謝・敬意が込められています。
また『もったいない』の精神から、利用する命はすべてを利用する文化も根差しています。
命を頂く(利用する)行為に対し、感謝し敬う精神は日本の素敵な文化だと思っています。
私見ではありますが、日本で動物の扱いに対するガイドラインのようなものを普及させる場合、『アニマルウエルフェア』の考え方を基にする方が適していると感じています。
素敵な日本の文化が衰退しないことが条件となりますが・・。

さて我々ペット関連業は、その命を扱い生業としています。
その命をどう扱うかで実入りが変わってくる職種ですが、短期的にみると命ある商品を適切に扱わないこと(物としての扱い)で利益が増えるように見えてしまいます。実際にペットを販売する業では、適切な扱いより効率を重視した生産・流通・販売方法が主流となっています。
そのため様々な社会問題を引き起こし、業界発展の妨げとなっていることは周知の事実です。

しかしペットの本当の価値は『健全に飼い主と一緒に重ねる時間』にあります。
ペット関連業はその時間を、いかに健全で豊かな時間として提供できるかが重要となります。例えばアニマルウエルフェアに準じて健全に繁殖したペットはの子孫は、遺伝的にも精神的にも健全であるため、感染症や遺伝疾患のリスクも軽減され、命ある商品としてのクオリティは高くなります。適正な飼育と共に、飼い主がより良い時間を長く重ねることが出来ます。商品やサービスもまた然りです。

アニマルウエルフェアの概念が普及し、業界と飼い主の命に対する扱いを健全化すること。健全なサービスや商品を提供するサイクルを作ることで、業界の社会に対する役割の幅を広げることが出来ます。そのうえで人と動物の共存できる社会を創り、人と動物を繋ぐこの業種からしか発信できない社会への貢献、医療・健康・教育などの分野への進出が可能となります。

いま社会的問題とされている殺処分問題や飼育放棄などの問題も、アニマルウエルフェアの概念を普及させ、業界が主導で解決に導くべき問題であると考えます。

アニマルウエルフェア『5つの自由』
・飢えや渇きからの自由(適切な給餌・給水)
・不快からの自由(適切な飼養環境の提供)
・苦痛、損傷、疾病からの自由(予防・診断・治療の提供)
・正常な行動発現の自由(適切な空間、刺激、仲間の存在)
・恐怖および苦悩からの自由(適正な扱い)

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